「思いやり」という意味

稽古の度に「思いやりで〜〜」という先輩方の指導。

一見なんのことだろうと思う。

組曲「雄勝町伊達の黒船」の伊達の黒船や図南の響きの
猛特訓をしている今日このごろ。
曲その物は複雑なリズムやアクロバティックな体捌きなどは
ないシンプルな構成になっている。

だからこそ、より楽曲に対するイメージ一つで出てくる音が変化する。


先輩方と雄勝町伊達の黒船の意味、曲のイメージの話をした時だった。

僕はきっと、「この楽章はこういう意味を持って作られているんだろう」
と、思っていて、答え合わせではないけれど先輩方に色々と聞いて回る。

すると
「う〜ん、特に決まっていないんだよね」

と、意外な応えに呆気にとられたのでした。

「各々が思うイメージで良いんだよ」

伊達の黒船「サン・ファン・バウティスタ」を建造する場面があり、
着水して出航する場面。
大海原を航海し、荒ましい嵐などに逢いそれでも力を合わせる場面、
漕手と帆手が息を合わせていく場面、
そしてアカプルコ、スペインにたどり着く喜びの場面。

と大きく分けるとこんな感じだ。

先輩方は

「俺はここは嵐の場面だと思っているよ」
「いや、あそこは建造でしょ」

と、やはりそれぞれだ。
それじゃ合わせられないのでは、バラバラになってしまうのでは。

と、思うのだけれど、そこで「思いやり」。
各々のイメージを尊重して、
おそらく、400年前の船上であったように、
各々の仕事を助け合うように、太鼓を打つんだよと先輩が言う。

なるほど、これが雄勝のノリなんだなと。
妙に納得する、ぺーぺーの打ち手の四倉でした。








photo by ぱんぬ